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vol.4「ポトスライムの舟」津村 記久子

発行日:2009年8月3日 月曜日 |

お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。第140回芥川賞受賞作。
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イラスト:タカヒロコ


vol.4「ポトスライムの舟」津村 記久子の書評イラスト1

163万円は夢の値段

世相を読んだ、現代版蟹工船と思いきやそうではない。
もっとありふれた、とある29歳女性の働きづめの日常。
163万円(世界一周旅行費用=自分の年収)を貯めるという夢のために薄給で休みなく働き、唯一の贅沢が観葉植物のポトスライムを育てることなんて、一見とてもせつなく、ズシンと重く響く。



vol.4「ポトスライムの舟」津村 記久子の書評イラスト2

不器用ながらも人の良い主人公

しかし、読み進めていくと、貯金の夢のためだけにストイックに生きているようにみえる主人公は、実はまわりにはとてもやさしく、決して精神的に貧しい生活ではないことがわかる。
『気前よすぎ?』なんて疑問を持ちならがらも友達にお金を貸したりするのには、「主人公、いいやつ!」としか思えないし、友達の子供、恵奈ちゃん(爬虫類と仏像好きの味のあるキャラクター)と接している主人公は、不器用ながらも人の良さが伝わってきてなんだか笑えてあたたかい気持ちにもなる。



vol.4「ポトスライムの舟」津村 記久子の書評イラスト3

ポトスライムのように...

生きていくこと、働くことは大変だけれども、ポトスライムが坦々と育っていくように、少し心細くはあるけれど、やさしい希望が日常のその手の先に確かにのびていることを感じられる物語。
毎日擦り切れながら真面目に働いている人ほど手にとってほしい作品!




紹介イラストレーター

タカヒロコ
セツモードセミナーでイラストレーションを学んだ後、アパレルでイラストの仕事を経験。現在フリーで活動中。温度・質感・匂い・空気の流れなど、絵の中に様々な感覚をとじこめられたらと思い制作しています。
http://takahiroko.net/il/


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