
発行日:2009年11月30日 月曜日 |
駅前の居酒屋で高校の恩師と十数年ぶりに再会したツキコさんは、以来、憎まれ口をたたき合いながらセンセイと肴をつつき、酒をたしなみ、キノコ狩や花見、あるいは島へと出かけた。歳の差を超え、せつない心をたがいにかかえつつ流れてゆく、センセイと私の、ゆったりとした日々。谷崎潤一郎賞を受賞した名作。
川上さんの本に登場するキャラクターは、かわいげがある。この本の主人公「ツキコ」は、川上さんの著書の中で最もかわいげがあると思います。高校時代のセンセイ(68~70歳位)と、偶然飲み屋で再会したツキコ(38歳)。ツキコはセンセイと酒を飲み交わす内に、恋心を抱いてしまいます。そんなところから始まる物語。
なんて聞くと、ドロドロとした恋愛臭い話かと思われるかもしれませんが物語は淡々と、静かに進みます。小悪魔的な要素をもつセンセイに振り回されながら、ツキコはどんどんセンセイに惹かれてゆきます。一見色気のない会話の裏でドキッとするセリフがあり、思わず「センセイ!!」(笑)と、叫んでしまいたくなります。
センセイの老体を心配したり、くそじじいと毒づいてみたり、子供の様にだだをこねたり、会えない夜に独り泣いてみたり、そんなツキコがいじらしくて、かわいくて、切ないのです。
「センセイ、センセイが今すぐ死んじゃっても、わたし、いいんです。我慢します。」
こんな台詞、普通言えません。
川上さん独特の文章。ひらがなとカタカナと漢字のバランス。活字の持つ楽しさを味わいながらゆっくり、何度も読める本です。
ななおん/NANAON
http://urananaon.atukan.com/
微妙なセンスのイラストと文章で、幅広く支持される事もなく地味に生息しています。 面白いのが好き。ブログはそれなりに更新中。本と映画とお酒があれば生きていけるよねぇ。