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vol.28「 猫鳴り 」沼田 まほかる

発行日:2010年1月18日 月曜日 |

宿した命を喪った夫婦。闇にとらわれた少年。愛猫の最期を見守る老人。ままならぬ人生の途に「奇跡」は訪れた。濃密な文体で、人間の心の襞に分け入ってゆく傑作長編。
vol.28「 猫鳴り 」沼田 まほかるの書評イラスト全体
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イラスト:ななおん


vol.28「 猫鳴り 」沼田 まほかるの書評イラスト1

モン

「モンは猫鳴りの容れ物なのだった」
物語の軸になっている「モン」という猫と、その家族。
ほのぼのペット愛なんていう生易しい物語ではありません。
亡くした子供に囚われている女。
ブラックホールの闇に堕ちてゆく少年。
死を恐れる老人。
モンという絶対的な存在が物語を引っ張ります。



vol.28「 猫鳴り 」沼田 まほかるの書評イラスト2

ただそこで生きる、大猫

モンは淡々とそこに居て、生きています。
モンの心理描写などは一切ありません。
オレンジ色の毛をなびかせて、子猫の死骸を食らう大猫モン。
庭石の上で外の猫に吼えるモン。
やがて老い、弱り、死を待つのみになったモンと、飼い主の葛藤と哀しみ。
「まだ逝くな。まだ早い。いや、もういい。もう充分だ。いやだめだ。、今はまだだめだ、せめてもう一度だけ見逃して・・・。」
一歩一歩確実に「死」に向かって歩いてゆく大猫は、戸惑い恐怖する飼い主を慰めさえするのです。



vol.28「 猫鳴り 」沼田 まほかるの書評イラスト3

沼田まほかるさんの感動の一冊

抜群の文章力とセンスを持つ沼田まほかるさんだから書けた物語。
ペットを飼った事がない人でも、共感できる部分が多々あると思います。
恥ずかしながら、私はラスト2Pだけ(だけでも!)を読むだけで、泣けてしまいます。
読んでいる内に、胸が苦しくなって本を閉じても、また開いて読み始めてしまう、そんな一冊です。




紹介イラストレーター

ななおん/NANAON

http://urananaon.atukan.com/

微妙なセンスのイラストと文章で、幅広く支持される事もなく地味に生息しています。 面白いのが好き。ブログはそれなりに更新中。本と映画とお酒があれば生きていけるよねぇ。

書評ブログより(引用)

  • そして、一匹の猫が、悶々とした日々を送る少年の心に、
    ほのかな光を与えたり、
    孤独な老人の寂しさや、死への恐怖をやわらげて行く様も、
    深く静かに描かれていて、じんわりと涙があふれたのでした。(百子の部屋: 猫鳴りより)

  • ただ「したいようにさせる」と言いつつも衰えていくモンに慌て、けれども、少しずつ、それを受け入れていく…。その葛藤、その心の動きが非常に印象的。
    非常に静かに、けれども、強く心に残る作品だった。(新・たこの感想文 (書評)猫鳴りより)

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