
発行日:2010年2月8日 月曜日 |
「知り合いから妙なケモノをもらってね」篭の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという“家宝”を持った女が現われて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は?底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。
京都を舞台とした、四編の物語。薄暗く怪しい気配に満ちた奇譚集です。
第一話。骨董屋でアルバイトを始めた「僕」。長い坂の上にある古い屋敷で、「天城さん」との奇妙な取引に巻き込まれてゆく。
第二話。大学生の「僕」が研究会で出会った「先輩」が語る奇妙奇天烈な物語。果実の中の龍をかたどった小さな根付が、「先輩」「瑞穂さん」「僕」の三人の間を奇妙に行き来し、交錯する想いの果てに待っているものとは―
第三話。高校生の家庭教師を始めた「僕」。町では通り魔事件と奇妙なケモノの気配に人々がおののく。少女が雨の中、最後の対峙したモノとは一体…?
第四話。祖父の通夜に集まった、親族たちと僕。祖父、そして屋敷にまつわる不吉な逸話が百物語のように浮かび上がる。真夜中に骨董屋が持ってきた遺品とは、そして屋敷の本当の秘密とは―
物語のあちこちで登場する「ケモノ」とは、一体何なのか。骨董屋は一体何者なのか―
読み進むうち、四編が細い糸でつながっているような不思議な感覚に陥ります。京都の裏路地のように巧妙に練られた展開や、ほの暗い物語をより一層に引き立てる美しい筆致。
すべての物語の最後には、森見氏が仕掛けた罠が。
きっと息を呑むこと間違いないでしょう。
森見氏の作品群のなかでも、異彩を放つ逸品。ぜひ、ご堪能あれ。
小倉マユコ
イラストレーター
2009年よりフリーのイラストレーターとして活動を開始。抒情性あるイラストをこころがけています。2009年二科展デザイン部門入選。2010年1月に初の企画展を予定。
URL: http://www2s.biglobe.ne.jp/~boris/mo/m_ogura.html
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