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vol.54「 アメリカン・スクール 」小島 信夫

発行日:2010年7月19日 月曜日 |

アメリカン・スクールの見学に訪れた日本人英語教師たちの不条理で滑稽な体験を通して、終戦後の日米関係を鋭利に諷刺する、芥川賞受賞の表題作のほか、若き兵士の揺れ動く心情を鮮烈に抉り取った文壇デビュー作『小銃』や、ユーモアと不安が共存する執拗なドタバタ劇『汽車の中』など全八編を収録。一見無造作な文体から底知れぬ闇を感じさせる、特異な魅力を放つ鬼才の初期作品集。
vol.54「 アメリカン・スクール 」小島 信夫の書評イラスト全体
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イラスト:聖跡大浜


vol.54「 アメリカン・スクール 」小島 信夫の書評イラスト1

これでもかというほど滑稽な姿、だけどそれは自分かも

本書「アメリカンスクール」は戦後、日本の英語教師たちがアメリカ人の学校を参観する話である。

伊佐は、英語を喋ると自分が何者でもなくなるような気がし、さらにそれを人に聞かれるという恥ずかしさや惨めさから、英語を話すまいとし逃げ回っている。

これは皮肉めいた部分もあるだろうが、単純に現代の日本人にも置き換えられる姿に見える。山田の言う「英語など」という意味をもった精神とは別に、伊佐のような感情で英語に近づかない日本人を表しているような気がするのだ。この滑稽な姿にはすごく親近感が沸く。また、ミチコという女教師の伊佐に対する感情はちょっとした驚きがある。まさかあそこでそうくるとはなぁ・・・といった感じだ。



vol.54「 アメリカン・スクール 」小島 信夫の書評イラスト2

戦後のドタバタが人の身体にも入り込んだようだ

他にも、いくつかの短編が入っている。
どれもこれもどこかバタバタした感じで、まさに戦後のあわただしさが登場人物の精神にのり移ったかのようだ。

「汽車の中」などがそれを大きく表している。この話は汽車という一つの密室で繰り広げられる舞台劇を見ているような気分になる。

また、エンマという川を舞台にした「鬼」も、空間は広がっているものの、一種の舞台劇を見ているかのようだ。この話は主人公がエンマに取り付かれてしまっているさまがとにかく奇妙で面白い!あまりにとりつかれてしまい、この川に浮かぶ島に一家で引っ越してしまうほどである。主人公の、エンマに対する執着の箇条書きは突っ込みどころ満載なのでぜひ読んでほしい!



vol.54「 アメリカン・スクール 」小島 信夫の書評イラスト3

「イ62377」、この銃によって何が起こるか

また、短編の中の一つ「小銃」では、主人公が自分の持っている小銃「イ62377」を日本で別れた年上の女に見立てて愛す話である。
それにより人生が変わり、葛藤があり、この小銃が中心になって話が進められていく。すると、読み手としても段々とこの銃に愛着がわいてる。
また、主人公の言動や行動がかっこいい!21歳ながらに小銃を扱うことに長けてしまい、それが変化をもたらすのだが、その変化する様もかっこいいのだ。「イ62377」によって、結局むなしさが生まれるのでかっこいいとは不謹慎だが、とにかくこの姿を見て欲しい。

その他の短編も、少し奇妙な舞台劇のようなつくりになっている。一度読み出すとこの世界にはまります!




紹介イラストレーター

聖跡大浜


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